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アントニオ・ロペス展

2013-05-20
渋谷のbunkamuraザ・ミュージアムで開催中の「アントニオ・ロペス展」を見に行く。
展示作品の数は多くないが、初期の作品から最近のものまで、油彩、素描、彫刻と、15分程のロペスの作品に対する思いを綴った映像など、バランスよく厳選されていて充実した内容だった。

彼の作品がスペインの国民はもとより世界中の人間を魅了するのは、その作品の圧倒的な完成度、美しい色彩や構図、信じられない色を創り出す鉛筆や木炭による素描によるものだけではなく、作品の随所にどうやっても滲み出てしまう彼の人間性によるものではないかと思う。

彼の油彩作品は、計測した鉛筆の跡がそのまま作品にこれでもかというほど残されたままだが、それがこれも計算の一部なのかと思えるほど自然に絵に溶け込んでしまっている。むしろ彼の誠実で真摯な絵画に対する姿勢が窺える。一生懸命目の前のモチーフを写し取ろうと計測し跡をつける彼の姿が目に浮かんで、微笑ましい気持ちになる。

きっと彼にとって鉛筆の跡など取るに足らないことで、それよりも隣りあう色が素敵に呼応しだしたり、大好きなモチーフが画面の中で生き生きと輝きだす瞬間とか、そういったことが大切なのだろう。それともこの鉛筆の跡も、制作の時間を刻む愛しい印として、もしくは違う素材の奏で合う面白さとして、画面になくてはならないものなのだろうか。彼の描いた薔薇の花びらに潜む鉛筆の跡は、たくさんのことを想像させる。

彼の絵、彫刻、素描、全てに一貫しているのは、彼が彼自身の愛する人たちや自然、故郷の街並、想い出の木等、彼の中に自然に芽生える愛しいものたちを題材にすることである。美しいもの、面白いもの、大好きなもの。自分に深く浸透している、愛しいものたち。自分を突き動かさずにいられないもの。

大好きなものだから描きたい、未完に終わる絵があって苦しんだり、それでも描き続けて、長い年月をかけて完成したときは、泣きたいくらい嬉しい。そうやって作り上げた作品に、誰かが何かを感じてくれたら幸せ。絵って本当は、きっとそういうものなんだろう。彼は国を代表するリアリズムの巨匠と呼ばれるようになってからも、何ひとつ変わらないスタンスで作品と向き合い続けている。





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